SpecialなWeekを目指す競馬日記

自分の買い目を考えて記録し後で検証するという目的のブログです。※馬券の購入は自己責任です。予想はそれほど悪くないが馬券に落とし込むところが課題です。

思い出話:その有馬記念はハーツクライが勝った

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その年の有馬記念、競馬を知らない人も注目する無敗の三冠馬ディープインパクトが登録して、当然の圧倒的な一番人気に支持されていました。
その時の有馬記念の思い出話。

当然の一番人気、単勝1.3倍

ディープインパクト、日本競馬史上にその名を刻む最強馬の一頭。
ハイセイコー、オグリキャップ、と競馬を知らない人を巻き込むほどの競馬ブームを再び巻き起こした偉大な馬、その馬ディープインパクトが鞍上武豊JKを背に無敗の7戦7勝でこの有馬記念に駒を進めてきました。
迎え撃つ格好の古馬勢は前年の有馬記念勝ち馬ゼンノロブロイ、前走ステイヤーズSで一年ぶりの勝利をした前年の菊花賞馬デルタブルース、有馬記念に三回出走して二回二着に逃げ粘っている逃げ馬タップダンスシチーといった実力馬、その中に前走ジャパンカップを二着して好調維持も一年以上勝ち星から見放されたハーツクライも人気の一角として四番人気に推されていました。

しかし、一番人気はディープインパクト。単勝1.3倍という圧倒的な人気は競馬ファンだけでなく、普段は競馬をやらないようなファンの人気も集めており、
「もはや勝つか負けるかじゃない、どんな勝ち方をするか、だ。」
という雰囲気が醸し出されていた有馬記念でした。

諦めていた有馬記念

圧倒的な強さを持つ人気馬は穴党の天敵です、要するに穴馬券にありつけないって理由からです。
「今年はしょうがないよね。」
そういいながら、予想も諦めムードで、たいしてまじめな予想もしていなかったような記憶があります。

どうせ、逃げるタップダンスシチーを最後の直線で早めに抜け出したゼンノロブロイがかわして先頭に立つ、そこをディープインパクトがやってきて前を行くゼンノロブロイを最後の最後でかわして、先頭でゴールインでしょ?

などとぼやきながら、「今年の有馬記念は堅いんだ。」というムードに流されていました。
そこで宣言したのが、「今年の有馬記念は、好きな馬を単勝一点買いする。」という宣言をしていました。ほう?どの馬を買うんですね?という質問に答えた馬名が

「もちろん昨年に引き続きハーツクライだよ。」

目の前の友人は、
「ま、確かに前走JCでアルカセットに迫っていますけどね、ルメールが乗ってこれなんですから、ハーツクライはどうだろうね~。」
と客観的な評価を下していました。確かに正直言って前走は府中の長い直線でたまたま追い込みがハマったようなレースだったと思っていたフシがあります。実際JC前の天皇賞秋では着外に敗れています。追い込み入ってのこの馬にとって、中山競馬場で開催される有馬記念は向いてないように思えました。
前年2004年の有馬記念も本命にして9着に敗れています。

ここで敢えてハーツクライを本命にする必要性は薄かったのは間違いないのですが、
なにせハーツクライ、日本ダービーで本命にしてからというもの、好きな馬の一頭、

「堅くてどうせ馬券が外れるのなら、好きな馬を一点買いして外した方がすがすがしい(そのうえ被害額が少なく済む)」

と、いうことで、前年より控えめに馬券を購入、もちろん単勝一点買い。

レースが始まると?

その日は府中競馬場で観戦していました。
ディープインパクトが勝つとわかっているレースにわざわざ中山競馬場で人混みにもまれながら有馬記念を観戦することもないだろう、という判断でした。

レースが始まると、案の定、大方の予想通りタップダンスシチーが逃げる展開、並んでオースミハルカ、続くのが控えた逃げ馬コスモバルクやコイントス、マイソールサウンドといったあたり、しかしハーツクライの位置は予想に反してこのコイントスやらマイソールサウンドより前、三番手や四番手あたりを追走、なぬ?追い込みじゃないの?

てっきりスタートが良すぎて押し出されたんだ、と勘違いしていた私は、もう一週目のスタンド前から愕然と諦め顔、だいたい追い込み一気の直線勝負しかしていないような馬が、コスモバルクと同じ位置取りで馬券になるわけがない、そう思っていました。
しかもいつもよりまあまあ人が入っている場外馬券売り場たる府中競馬場、みんなディープインパクトの馬券を持っているんだろうなぁ、ディープインパクトを応援する歓声がちょくちょく聞こえます。ハーツクライのいつもと真逆といえる位置取りとディープインパクトへ送られる賛辞の歓声によって、一週目で、
「今年の有馬記念は終わった」
と思っていたもんです。

こうして三コーナー、コスモバルクがいよいよ仕掛けに行き、先頭のタップダンスシチーに並びかけていきます。いやいや簡単に逃がしませんよ、というディープインパクトは当然まだまだ後方待機、しかし、ハーツクライ、何とコスモバルクに一完歩遅れて三コーナーから積極的に仕掛けていく、コスモバルクの直後に取りついて、先頭をうかがう勢い、「ん?ハーツクライ、どうしちゃったの?」追い込み一手の姿しか見てない私は三コーナーの様子が全く理解できていませんでした。

レースは四コーナーから最後の直線へ

こうしてレースは四コーナーに差し掛かります。
先頭は当然タップダンスシチーなのですが、その直後にハーツクライ、そしてその外側にはゼッケン6番、あのディープインパクトの姿も見えます。さすが日本最高の名手武豊JK、仕掛けどころを間違えるなんてありえません。しっかり先頭を射程圏内に入れ、中山の坂も織り込み済みで徐々に外目から進出してきています。

「あー、豊さん、いつもながら完璧な騎乗じゃないっすか」

こういいながら、ディープインパクトの勝ち方がどうなのかに友人も私も興味が移っていました。

外を回したディープインパクト、その前にいるのは…
タップダンスシチーを交わしたコスモバルク、内目にリンカーンと…
その時、場内に実況がこだましました。

「ハーツクライ、先頭」

え?ハーツクライ、先頭?
なんかちゃんとターフビジョンを見ると、黄色の帽子が先頭を走っている、この馬がハーツクライでした。
そしてその外目には赤の帽子、これがディープインパクト。

ディープインパクトが強烈な脚で外から迫ってくる、しかしハーツクライはいつもの追い込みで見せるような鋭い末脚を、あれだけ前で競馬していたにも関わらず繰り出す末脚を、鞍上のルメールJKが必死で追い、最後のゴールまでムチを打つ、その脚は今まで見たハーツクライの姿そのものでしたが、一点だけ、

しばらく見られなかった「先頭をただ一頭で走り抜ける姿」だけが違っていました。

「ハーツクライ、先頭でゴールイン」

場内に実況の絶叫が響き渡りました。
その瞬間ディープインパクトの二着が決定しました。初めてディープインパクトが敗れた瞬間でした。
そして、府中競馬場内に、ディープインパクトの馬券を握りしめたファンたちの悲鳴があちらこちらから聞こえてきました。

…。
あまりのことに、状況が把握できていなかったのですが、どうやら私の手元にあるハーツクライの単勝が的中したようです。

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予想しなかったのに、
好きな馬の番号をマークシートで塗っただけなのに、
そして「どうせ当たらない」などと言って取り組まなかっただけなのに、

ルメールJKはハーツクライでどうやってディープインパクトを負かすか、この一点に集中してレースに全力を出し切った瞬間でした。

2017年有馬記念

今年ハーツクライ産駒が二頭、シュヴァルグランとスワーヴリチャードが出走します。
そしてディープインパクト産駒の牝馬ミッキークイーン、ディープインパクトの兄ブラックタイド産駒のキタサンブラックが人気の中心にいます。

うーん、シュヴァルグラン。気になるよ。