ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は「掛かる」「引っ掛かる」について少々。
かかる、というのは
レース中に、馬が騎手の言うことを聞かずに勝手にスピードを上げて暴走することを「掛かる」もしくは「引っ掛かる」といいます。
掛かってしまうとペースがメチャクチャになってしまい、たいていは途中でバテてしまいます。馬の気性が悪い時や、騎手が無理にペースを抑えようとしたときに掛かりやすくなります。
掛かると騎手が想定していたレース展開と全く違うものになってしまいます。なので、逃げ馬が掛かってしまうと想定よりも大きく逃げて大逃げになってしまったり、末脚勝負の馬が馬群に入って最後まで我慢するはずが掛かってしまい想定より前で競馬することになってしまったり、その馬本来の能力を発揮するはずの位置取りより前に出てしまうことになります。
こうなると、「脚を使い果たしてしまう」という結果につながってしまうことで、ラストスパートに大きく影響し、結果としてレースの着順にも影響してくることになります。
掛かり癖
この「かかる」がレースの度に常態化してしまった馬は「掛かるのが癖になった馬」という意味で「掛かり癖」とか「掛かり癖がある」と表現されます。
騎手はレース前にもレース中にも、ドウドウとなだめて何とか全力を出し切る走りに導こうとする騎手の想定通りの走りになるよう努めていますが、それでも掛かり癖のある馬をなだめすかしてレースを走り切るのは大変なようです。
折りあい
掛かる馬をなだめすかして走ろうとしているのに、それを抑えきれない場合、「折り合いを欠いた状態」でレースは進みます。
逆に、騎手と馬が意思疎通ができている状態は「折り合いがつく」といい、この状態は人馬一体、全力を出し切るのに十分な状態であるといえます。
「折り合いを欠いた状態」の場合、騎手が想定したレース展開にならないため、一般的には無駄にスタミナを使ってしまう(脚を使うことになる)ので折り合いを欠いた馬は折り合いがついた馬より最後のラストスパートで不利になることが多くあります。
引っ掛かっても大丈夫なことも?
実は引っ掛かっても大丈夫な場合もあります。
能力があまりにも突出している場合、「折り合い?何それおいしいの?」状態で走り切ってしまう場合があります。
例えば、新馬戦や未勝利戦で、スタートから先手を奪って圧倒的なスピードにものを言わせて逃げ切ってしまうような馬がいます。掛かるか折り合いがつくかはあまり関係なく、スピードの絶対値の違いによって圧巻のレースを見せるような馬です。
ただ、レースのレベルが上がるにつれて、絶対的なスピード能力だけで勝ち進むことが難しい、というのも競馬の一面なので、新馬戦や未勝利戦でスピードにものを言わせて走り切った(圧勝した)ような馬が、重賞やGIで簡単に負けてしまう、ということもあります。
こういう馬は鍛えてレースを上手く走り切れるように精神的な(性格的な?)成長が要求されることになります。