ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は前回に引き続き、馬場状態の小話を。
前回「競馬雑学:馬場状態を表す言葉 - SpecialなWeekを目指す競馬日記」を実際に予想に使う時の知識、みたいなもんです。
馬場状態の悪化は「走りにくさ」
前回
「人間でも雨の日に駅の床が滑って歩きにくい(走れない)ことがありますよね。あれと一緒です。」
と書きましたが、あれは芝コースを指していう言葉です。
芝コースでは地面に水分が増えれば増えるほど滑って走りにくくなります。
馬場が悪化すると走りにくくなるのは全員一緒なので、ここでポイントになるのは、逃げ馬・先行馬、ということになります。要するに前を走る逃げ・先行の馬にとっては、スタートから前に出てそのままマイペースでなだれ込めばゴールイン=勝利、に対して、差し・追い込みの脚質では、地面が滑る中で自分の最高速を発揮して前を走る馬たちをすべて追い越さなければ勝利になりません。
実際に雨の日の駅で前を歩く人をドンドン追い越そうとすると分かるんですが、滑るのが気になってなかなか人の倍の速度で歩くのは難しいもんです。転びそうになったりして。
そのため、芝コースは一般的に、「滑って走りにくいからタイムは出にくい」かつ「馬場が悪化すれば逃げ・先行が有利」という構図になるといえます。
ダートコースは芝とちょっと違う
ダートコースのレースでは芝コースと違って良馬場は必ずしもタイムは出ないとされています。良馬場は水分がない乾いた状態なのでかえって走りづらく、タイム自体は出にくい傾向があるとされています。
人間でも、カラッカラに乾いた砂場や砂漠を一生懸命に走ると砂に脚を取られて走りにくいですよね。でも砂場は雨などで地面が固まり、そうなると走り(歩き)やすくなります。
競走馬もそれと同じく、砂の上を走るときは「多少水分が含まれて踏みしめる地面が固まっている方が走りやすい」=「良いタイムが出やすい」ということに繋がってきます。
稍重や重馬場の方が、ダートではタイムが出やすいっていう事ですね。ダート馬の持ち時計(ベストタイム)を見ると馬場状態が悪めの方が多いのはそういう理由です。
稍重になるだけで?
パンパンの良馬場でこそ自身の武器である切れ味を発揮することができる、というタイプがいます。こういうタイプでは通常はそれほど走りに影響しない稍重であっても極端に成績が落ちる場合があります。
一定のマイペースで走り抜ければよい逃げ馬や、ちょっとスパートして前の逃げ馬だけを追い越せばよい先行馬と違って、差し・追い込みの脚質は、スパートで前にたくさんの競争相手を一気に追い抜く必要があるため、地面が滑ることで(転ばないように)走りに気を付けて先頭に立つ、というのはかなり難しいワザといえます。このため天候の悪化による馬場状態の悪化は一般的には内枠の逃げ・先行に有利に働くといわれています。
爪の形が左右する?
地面の水分量によって滑る、といってもその程度には個人差があります。
ちょうど、雨の日の電車や駅で地面が濡れていても、靴の底がすり減っていなければ(あるいは雨用の靴だと)しっかり床をとらえて歩きやすいということもあります。逆に靴底がすり減ったテカテカの靴だと滑って危ないです。(経験者は語る)
これは靴底によって雨の日でも滑る滑らないに差が出るということですが、競走馬も同じことが言えます。この靴底に該当するのが競走馬にとっての「爪」と言えます。
要するに、競走馬にとっては「爪」がスパイク代わりとなって、地面が滑らなくなる場合がある、ってことです。
結局"個人差"?
ココに落ち着いてしまうのですが、不良・重馬場得意な馬もいますし、良馬場じゃないと成績が安定しない馬もいます。
結局競走馬の個人差です。
天候が悪化するときに「この馬は重馬場苦手じゃないか?」という視点で予想を絞り込んでみると、余計な点数を入れなくてよくなるかもしれませんし、「この馬、人気ないけど重馬場の成績がイイ!」という穴馬を見つけて高配当にありつけるかもしれません。
こういった馬場状態に適合した個性を見つけ出すことができるかどうかにも、予想の精度が関係してくる、ってことですね。