ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
ナリタタイシンに続き平成三強といわれたビワハヤヒデが老衰で亡くなりました。最近、90年代の名馬の訃報が続き寂しさがあります。
ビワハヤヒデ＝三強のトップ
ビワハヤヒデの現役時代はリアルタイムで競馬を観ていない時期なのですが、平成三強と呼ばれたナリタタイシン、ウイニングチケット、ビワハヤヒデの三頭の中でも一番強かったイメージがあるのがビワハヤヒデ。
やはり現役時代の成績の安定具合が他の二頭を凌駕している点が挙げられます。
また母パシフィカス、半弟ナリタブライアンという血統もビワハヤヒデ最強説の一端をになっているように思えます。当時は競馬界最強の兄弟なんて言われていたものです。
その完璧な成績
デビューから三連勝、朝日杯は外国産馬エルウェーウィン<エルウェーウィンの思い出 - SpecialなWeekを目指す競馬日記>にハナ差惜敗してしまいました。翌年共同通信杯でもアタマ差惜敗してしまい、トライアルの若葉Sを快勝したものの、皐月賞ではウイニングチケットに一番人気を譲り二番人気に甘んじました。
その皐月賞では、直線抜け出して先頭にたったところをナリタタイシンの剛脚にクビ差及ばず二着、ダービーでもウイニングチケットに一番人気を譲って二番人気で二着という成績に終わりました。
秋になってから菊花賞を二着ステージチャンプに五馬身差をつけて圧勝、次走の有馬記念で当然の一番人気に推されるもトウカイテイオーの伝説の鉄砲駆けに半馬身及ばずの二着。
古馬になってから完成された実力を発揮し、天皇賞春や宝塚記念を含め四連勝、三冠馬の弟ナリタブライアンとの最強兄弟対決がこの年の有馬記念で？とファンを期待させたのですが、天皇賞秋に故障を発生、デビューからの連続連対を15でストップと同時にそのまま引退となってしまいました。
同期のナリタタイシンとウイニングチケットとでクラシック三冠を分け合うような格好になったこの年のクラシックレースは、思えばこの三頭が常に一番人気～三番人気に推されていて、必ずこの三頭が勝利していた（皐月賞とダービーでいえばこの中の二頭で決着していた）という珍しい年でした。
成績からはステイヤー寄りのように見えますが、菊花賞を3:04.7秒と当時のレコードタイムで勝利したように、スピード能力も高いものを見せており、最強馬の一角として申し分ない実績を残していました。
その菊花賞レコードは、1994年10月30日の天皇賞（秋）でビワハヤヒデが引退した翌週の1994年11月6日、弟のナリタブライアンが稍重馬場をものともせず兄のレコードをコンマ1秒更新するレコード勝利で三冠達成となりました。
実況の「弟は、大丈夫だ！」が印象的。
なんかこの辺にもドラマが見え隠れしています。
ナリタタイシン同様に、種牡馬成績は残念なことに後継種牡馬を遺すことはできませんでしたが、やはりサンデーサイレンス時代のど真ん中の種牡馬生活のいうのがかなり響いたように思えます。
ビワハヤヒデはデリケート？
大きな顔が特徴的で、その豪快な勝ちっぷりから強いイメージが先行しがちなビワハヤヒデなのですが、実は繊細な神経で輸送はあまり良くなかったという話を何かで見たことがあります。
皐月賞やダービーも若い時期なので、その辺の繊細なところがでてしまい、かなり輸送の影響を受けていたようです。それでいてしっかりと二着を確保しているあたり、ビワハヤヒデの強さを物語っているといえるかもしれません。
持ち込み馬は難しい
そもそも、ナリタタイシンやビワハヤヒデは海外で種付けされた牝馬を輸入して日本で生まれた、持ち込み馬、という出自です。
日本で生まれているため、血統は海外の血統ながら内国産馬扱いとなり（当時は）外国産馬がクラシックレースを始めとした大レースに出走できなかったのですが、持ち込み馬である二頭は内国産馬としてクラシックレースに出走出来ていました。
ちなみにブエナビスタ母のビワハイジも持ち込み馬だし、同じカーリアン産駒で和製ラムタラと呼ばれたフサイチコンコルドも持ち込み馬。
最近はソウルスターリングを始めとして、フランケル産駒の持ち込み馬をよく見掛けます。
しかし、持ち込み馬は環境の変化に順応できるケースと出来ないケースがあり、いくら世界的な良血を持ち込み馬として連れてきても、結果が残せない持ち込み馬も多数いました。
そんななかで同じ年に二頭の持ち込み馬がクラシックレースでその世代の中心となっていたのは正直あまりみたことがありません。
そういう意味でもこの年は特別な年だったのかなぁと思っています。
ナリタタイシンと同じ歳で
二頭は生まれがちょうど三ヶ月違い。
ナリタタイシンの生年月日は1990年6月10日、一方のビワハヤヒデの生年月日は1990年3月10日とちょうど三ヶ月前に生まれています。
その二頭が同じ2020年、天に召されました。
ナリタタイシン2020年4月13日、そしてビワハヤヒデ2020年7月21日、これもちょうどじゃないけど、三ヶ月違い。
残ったウイニングチケットには三強最後の生き残りとして長生きして欲しいなぁ、って思いました。
