SpecialなWeekを目指す競馬日記

自分の買い目を考えて記録し後で検証するという目的のブログです。※馬券の購入は自己責任です。予想はそれほど悪くないが馬券に落とし込むところが課題です。

競馬雑学:アグネスデジタルの旅立ちに思う

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ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。

今日は昨年12月にアグネスデジタルの旅立ちの報に触れ、しばらく書けなかったのですが、ようやく思い出を振り返ります。

デビュー99年=アグネスワールドの活躍年

この馬がデビューし二戦目で初勝利を挙げた時、同じアグネスの冠名を持つアグネスワールドがフランスでアベイ・ド・ロンシャン賞を制覇したタイミングでした。
当時海外GIの制覇は現在よりも珍しく、このアグネスワールドが挙げた異国でのGI勝利はかなり話題となっていたように記憶しています。
当時はクラフティープロスペクターという種牡馬はあまり詳しくなく知識もなかったので、なんとなくアメリカのダート血統という印象でした。

年明けから芝路線へ

全日本3歳優駿(当時のレース名でGⅡ)を勝利して前途洋々なダート馬、と言いたいところですが、90年代はまだまだダート路線が整備されておらず、年明けには芝のレースに打って出るも重賞二戦連続三着、本番NHKマイルCは七着と大きく負けてしまいました。

ここから方針転換されダートのレースを使うも前哨戦快勝から本番のJDDは一番人気に支持されるも大敗、秋は始動戦のユニコーンS二着、古馬と初対戦となった武蔵野Sは二着に敗退、一介のダート馬(といっても重賞勝利しているけど)と思われたアグネスデジタルはマイルチャンピオンシップに出走、当然人気を集めることもなく13番人気の低評価。

しかし、このマイルチャンピオンシップで一番人気のダイタクリーヴァを半馬身退けて快勝、たぶんこのときはエイシンプレストンから穴狙いでマイネルマックスを狙っていたような記憶があります。マイネルマックスを超える人気薄のアグネスデジタルの快勝でした。
二着に下したダイタクリーヴァは皐月賞二着の実績馬、さらに最低人気でスプリンターズSを制してスワンSを連勝していたダイタクヤマトといった面々を抑えての勝利でした。

翌年、ダートと芝で八面六臂の活躍

翌年、春は未勝利に終わったものの、秋初戦を交流重賞で圧勝すると、続けざまに盛岡のマイルCS南部杯を勝利、そこから中二週で天皇賞(秋)を制覇し、暮れの香港Cでも外国馬相手に勝利を収めました。

天皇賞(秋)ではテイエムオペラオーを抑えての勝利、「どうせここもテイエムオペラオーとメイショウドトウでワンツーフィニッシュなんでしょ?」なんて戦前に言っていたのが恥ずかしくなるような快勝でした。

翌年はフェブラリーS、その翌年は安田記念をそれぞれ勝利しました。「天皇賞(秋)馬がフェブラリーSに一番人気で出走するというのは、オールドファンはどう思うんだろうか。」なんてどうでもいい心配をしたものです。

芝とダートの両方で走る馬はちらほらいたものの、両方で活躍する馬が珍しい存在だったのは、この後にアグネスデジタルのような戦歴を誰もマネできていないということが証明しとなっていような感じがします。

実はクロフネの未来も左右したアグネスデジタル

天皇賞(秋)を勝利したアグネスデジタルですが、その出走によって歴史が変わっていたかもしれないというエピソードがあります。
その馬はクロフネ。

NHKマイルCを制したクロフネは秋は天皇賞(秋)を目指していました。秋初戦は神戸新聞杯を使っていたことからも芝2000mでのGI戴冠を目指していたように思えます。
しかし、当時の天皇賞(秋)、外国産馬の出走枠はわずか1頭、そこにアグネスデジタルが勇躍参戦を表明、次点だったクロフネは回避を余儀なくされてしまいます。

そこで目標を変更し、同じ東京競馬場でもダートの1600m戦、武蔵野Sに照準を変更したクロフネ、ここで二着のGI馬イーグルカフェ相手に九馬身差の圧勝を見せます。
このイーグルカフェが翌年のジャパンカップダート(現在のチャンピオンズC)を快勝する実力馬、それを子供扱いにしてしまいます。

続いて当然圧倒的な1倍台の一番人気で迎えた本番ジャパンカップダート(現在のチャンピオンズC)も前年の覇者ウイングアロー相手に七馬身差の圧勝と規格外の強さを発揮してダート最強馬と呼ばれることになりました。

クロフネがダート路線変更することなくあのまま天皇賞(秋)に出走していたら…と思うと、アグネスデジタルによって阻まれた天皇賞(秋)への出走がクロフネのダート最強への道しるべを作ったようにも見えてしまいます。

二頭の対決がみたかったファン心理

結局クロフネはダート二戦でケガにより引退、二頭が相まみえることはなくアグネスデジタルとの頂上決戦とはいきませんでしたが、この二頭でダートの頂上決戦を観たかったというのは当時のファンとしては夢の対決の一つだったんじゃないかと思います。

二頭と直接対決したウイングアローをモノサシにすると、
ジャパンカップダート(チャンピオンズC)で勝ったクロフネは二着ウイングアローに1.1秒差の勝利でした。
その前走の盛岡マイルチャンピオンシップ南部杯で勝ったアグネスデジタルは五着のウイングアローに1.1秒差の勝利、と全く同じタイム差でどちらも甲乙つけがたい差でした。

アグネスデジタルがこの年は香港に行かずにジャパンカップダートに出走していたら?
クロフネがケガせず(引退もなく)翌年のフェブラリーSに出走していたら?

タラレバの話ですが、ちょっとしたすれ違いで対決が叶わなかった二頭の頂上決戦はファンにとっては興味深い話のタネです。

一瞬だけソダシはアグネスデジタルを目指した?

クロフネ産駒のソダシは去年チャンピオンズCで12着と大敗しましたが、捲土重来を期して臨んだフェブラリーSは三着に踏ん張りました。牝馬の好走が珍しいフェブラリーSで四歳牝馬のソダシが三着できたのは力あってこそ。その血統からはダートもこなせて不思議じゃない家柄ですから当然と言えば当然なのですが。

しかし洋芝の成績もよく、香港の馬場への適性もありそうな気も。札幌記念でラヴズオンリーユーを0.1秒差抑えて勝利した実力は、その後のラヴズオンリーユーの活躍(BC制覇&香港Cの勝利)を考えると、ソダシにも可能性がありそうな走りに思えました。

しかし、これだけの馬でもダートと芝を切り替えてGIを勝利し続けるというのは至難の業ということが窺えます。それをやり切ったアグネスデジタル、しかも中央の芝とダート、加えて地方のダート戦に海外の芝とダートで結果を残しました。アグネスデジタルはやはり偉大な一頭だったといえそうです。