ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は2016年ダービー馬マカヒキの引退、長く走ったダービー馬として印象に残る一頭です。
第八十三回ダービー馬マカヒキ引退
10月26日、マカヒキが引退したという報に触れました。
引退後は北海道日高郡新ひだか町レックススタッドで種牡馬生活に入る予定、とのことで、長い現役生活から次なるステージに向かうマカヒキを陰ながら見送りたいと思っています。
三連勝で弥生賞制覇から皐月賞へ
マカヒキを世代の主役格に押し上げたのはやはり重賞初勝利となった弥生賞かなと思います。
このブログは2016年3月13日にスタートしており、マカヒキの弥生賞勝利の翌週がスタートでした。そういう意味でなんとなく同時期ということから親近感が湧く一頭でした。
この弥生賞で二戦二勝無敗で朝日杯を制した超良血の快足馬リオンディーズに初めて土を付けます。断然一番人気の推された快足馬リオンディーズをクビ差差し切ったのがこのマカヒキでした。
しかし皐月賞ではマカヒキは三番人気、きさらぎ賞勝利のサトノダイヤモンドや、一叩きして確実に良化してくるリオンディーズに人気で劣る三番人気という評価でした。
しかし三連勝で弥生賞を勝ち切った実力を信じてマカヒキを本命にします。そして人気馬リオンディーズが斜行で降着となる直線の攻防でマカヒキの末脚が爆発して勝ったと思ったとき、鞍上蛯名JK(現調教師)のディーマジェスティがマカヒキに先んじて抜け出すとそのまま先頭でゴールしていました。
ダービー馬マカヒキ誕生
皐月賞のレース振りから、初コースの東京コースで間違いなく逆転すると考えたダービーでは皐月賞に続いてマカヒキを本命にしました。サトノダイヤモンドとの二頭で迷った一面もありましたが皐月賞本命で惜しくも二着だったリベンジの意味もあって本命にしたところもあります。
皐月賞に続いて三番人気だったマカヒキは、馬場の中央から抜け出すと最後はサトノダイヤモンドとの叩き合いを制してハナ差先着、勝ち切ってダービー馬の栄光を手にしてくれました。
レース後にはダービージョッキーとなった鞍上の川田JKに感じるところもあった好レースだったと記憶しています。
海外挑戦からその後
マカヒキの次の目標となったのは凱旋門賞、前哨戦のニエル賞を勝利して期待を集めたものの14着と結果は出ず、改めて海外の難しさを感じさせる結果だったように思います。
その翌年からマカヒキは苦難の時期が続きます。重賞・GIと出走するも掲示板くらいの成績に終わることが多く、人気以下の着順となることもチラホラありました。
その中でも、2018年の札幌記念は往年の強烈な末脚を見せて、勝ったサングレーザーにハナ差まで迫る二着、突き抜けたと思いましたがハナ差及ばなかったところに、いちど歯車が狂った馬の立て直しは難しいのかなと思うこともあったものです。そんな成績のなかでも京都記念は二年連続三着だったり、大阪杯を二年連続四着したり、ジャパンCを持ち前の末脚で二年連続四着と人気以上に走っていたり、泥んこ馬場といえる不良馬場となった天皇賞(秋)には五着掲示板を確保していたりと、ダービー馬として力の片鱗は見せていたレースもありました。
ただ、馬券は三着以内にしか検討の余地はなく、いつしかマカヒキも重賞で人気することなくなり、一介の穴馬となっていきました。
京都大賞典で復活走
マカヒキの血統は父ディープインパクトに母父フレンチデピュティということもあり、早熟なんじゃないかという印象も少なからずありました。
同期の有力馬も既にほとんどが引退しており、ダービーで頂点を極めたはずのマカヒキが現役としてレースに出走する日々が続いていたように思います。
しかし、2021年10月京都大賞典では、人気馬アリストテレスが押し切りを狙いキセキを従えて馬群から抜け出すところを外から一気の末脚でまとめて前を差し切ってしまったのが、終わったと思われていた九番人気の人気薄マカヒキでした。その末脚は全盛期を彷彿とさせるものを感じる末脚だったと思います。
この京都大賞典の勝利は、いままで応援してくれたファンにマカヒキが最後の恩返しと勝利をプレゼントしてくれたように見えました。(こういうのたまにありますよね。)
種牡馬としての戦い
こうして2022年秋、マカヒキは種牡馬としての次の競争に向かうため現役を引退することになりました。
九歳での引退は決して早いものではなく、残せる子孫も限られた期間ではありますが、種牡馬として次の暮らしが決まったのは良かったと感じました。
思えばダービーで叩き合いを演じた菊花賞馬サトノダイヤモンドは既に2022年に初年度産駒がデビューしていますし、同期のディーマジェスティやリオンディーズも既に引退し種牡馬として産駒を送り出しています。後に大成して天皇賞(春)を制してGI馬の仲間入りを果たしたレインボーラインも2018年に引退してサトノダイヤモンド同様に今年初年度産駒を送り出しています。
しかし、同期のエアスピネルはまだダート路線で現役を続けています。しかも今年GIかしわ記念で五着掲示板、重賞さきたま杯では上がり最速で飛んで来て0.2秒差四着とまだまだ気を吐いています。改めてすごいなと思うエアスピネル、そしてこのマカヒキの世代、クラシックを勝てなかったメンバーからもGI馬が何頭も輩出され、改めてマカヒキが勝利したダービーの価値を考えることもありました。
これからマカヒキがターフを駆ける姿を観ることはできなくなってしまいますが、将来的には「父マカヒキ」という馬柱を見ることができると思うと楽しみなところもあります。
マカヒキが力走した28戦、そして晩年に挙げた京都大賞典の勝利、ディープインパクト産駒の種牡馬は競争が厳しいと思いますが、マカヒキ譲りの末脚を持つ産駒の活躍が観たいと思っています。