ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は関係者のコメントによく出てくる用語「口向き」についてと、馬の操縦性の話。
口向きとは?
ハミ受けの状況を指して口向きといいます。人間と馬の意思の疎通をハミを通してコミュニケーションしてます。
"ハミ"は、以前にやっていました。
競馬雑学:ハミを取るって、何取ったん? - SpecialなWeekを目指す競馬日記
ここでもちょっと同じような説明をしていますが、ハミを正しく付けていないと鞍上の合図を馬が正しく受けることができず、馬は勝手に走っていることになります。馬に乗ったことがあると分かるのですが、馬への指示は微妙な手綱の動きで馬に「前進」とか「右にカーブ」「左にカーブ」などと伝達します。意外と繊細に感じ取ってくれる馬もいれば、全然意に介さない馬もいます。
これを"口向き"と表現して、馬の操縦性の善し悪しを表現する用語として使われることが多いです。
口向きが悪い
悪い、ということはそのまま"操縦性が悪い"ということを表現しています。
馬の口に装着するハミを通じた指示の伝達(される側の馬)の善し悪しを表現するので、口向きという単語になったんだと推測。
騎手の意思が伝わらない状態を口向きが悪い、または硬口(かたくち)と表現します。あるいは"口が硬い"と表現される場合もあります。
競馬新聞にこれらのコメントが掲載されていたとしたら、「操縦性が悪いので、馬が騎手の言うことを聞かずにレースを進める=折り合いを欠く」ということもあるんだなと考えて予想に加味するのもいいと思います。
調教や育成の段階でこのハミ受けは訓練するので、レースに出るようになってからもこういったコメントを見掛けると言うことは、かなり気性が悪いのかな、と考えることが出来ます。
口向きの悪さで起こる影響(一例)
口向きが悪いとどうなる?ということを例示してみようと思います。
口向きが悪いということは、操縦性に難があることになります。操縦出来ないということは、きちんとコーナーでカーブできないことになります。これは逸走が代表例じゃないかと。
特に四コーナーで逸走するケースは勝負所で大きなロスとなってしまうため観戦していても目立つ光景です。
印象に残っているのはステイゴールドのデビュー三戦目、最終コーナーを曲がらずに逸走し競走中止になったレースが真っ先に浮かんで来ました。ステイゴールドってサンデーサイレンス産駒でも輪を掛けて気性が悪かったですね。
その代表産駒であるオルフェーヴルも、そういえば阪神大賞典で伝説となっている逸走(これはどちらかというと自分でレースを止めたというか)も思い出しました。
他にもエイシンヒカリ。三歳時に出走したアイルランドTでは四コーナーをカーブしたときに「故障発生?」と思わせる逸走を見せ、ただ一頭だけ外ラチ沿いを走って一人ハンデ戦のような直線の追い比べとなりました。結果これで勝ち切ったのはすごいと思いますが、若いころの口向きの悪さを示す走りだったと思います。次走チャレンジCで重賞初挑戦で一番人気に推されるも九着と大敗しました。
そういや2020年のホープフルSでは二番人気だったランドオブリバティが逃げてレースを引っ張るも、四コーナーで外ラチに向かって大きく逸走してしまい落馬、競走中止となっていました。これも口向きの悪さで上手くいかなかった例だと思います。
他にも直線やスタートでヨレるのも口向きの悪さが一因となることがあります。ヨレる要因は一つではないのですが、口向きの悪さからヨレてしまう馬もいるそうです。直線でヨレるのは減速に繋がって大きなロスといえますので、操縦性が高いというのは重要なことが分かります。