春のGIも終わり、開催は夏競馬の福島・小倉へ。
6月23日現在の東京や京都開催で勝ち上がった新馬のなかで、新種牡馬の新馬勝ち上がり産駒を調べてみました。
記事作成時からちょっと期間が空いてしまったので、一部福島・小倉の開幕週である6月29日と30日の情報も加筆しています。
サートゥルナーリア
贔屓目もあって今年は一番動向を注目している新種牡馬です。
キングカメハメハからロードカナロアと来てサートゥルナーリアと続く血統です。産駒はロードカナロアの孫世代にあたるのですが、種牡馬としては短距離よりクラシックディスタンスである中距離を狙えそうな印象があります。
産駒の新馬戦初勝利は6月8日東京5R芝1600mでコートアリシアンが勝利を挙げました。
レースではゲートで立ち遅れ、パドックでうるさいところをもあったのでそのままスタートの善し悪しに直結した感じ。この辺は父に近いのかも。
しかし二の脚は速く、あっという間に馬群に取り付くと、馬込みで上手く折り合いを付けていました。スローペースだった流れもあってレース後半は上がりの競馬、直線に入ってからは菅原(明)JKの追い出しに反応すると、あっという間に二着馬を五馬身ちぎって圧勝を決めました。
レース後コメントでも追ってからの反応が良好という話がありましたが、父のサートゥルナーリア同様にテンションが上がりやすい点の指摘もありました。
まだまだ気性面には課題があるようですが、牝馬ながら牡馬を五馬身差で一蹴した新馬戦は圧巻でした。かなり強い勝ち方をみせたことで暮れに向けて有力馬が一頭誕生したといえそうです。コートアリシアンに続いて他の産駒にも活躍を期待しています。
ナダル
早くも三頭が勝ち上がり。ポートデラメールとヒデノブルースカイ、ダートでクレーキングと六頭の出走で半数の三頭が勝ち上がり、残り三頭の内二頭(カルデライトとパースウェイド)は二着と次回の勝ち上がりが期待できそうなレース内容だったこともあり、かなり有望そうな種牡馬となっています。
ダート馬と思われていたナダル産駒ですが、実際にダート戦でデビューしたのは前述のクレーキングと、その新馬戦二着だったパースウェイドの二頭で、他の勝ち上がりポートデラメールやヒデノブルースカイ、二着だったカルでアリとはいずれも芝のレースでの好走となっています。芝とダートの兼用なのか、配合次第で芝でも走る産駒が輩出されるのかの判断はこれからですが、それをさておいてもデビューした産駒の勝ち上がり率や好走率はかなりのものだと思いました。
ポートデラメールのレース後コメントで気性に課題があることが指摘されていたり、ヒデノブルースカイのレース後コメントのように幼さが残っているコメントが気になりましたが、裏を返せばそれだけ伸びしろがあるということでもあります。実は種牡馬の勢力図を塗り替えるくらいの存在に化けるかもしれません。
あと、クレーキングのレースが圧勝でした。
ダート1400mで二着以下を三馬身半差で圧勝、二着馬もナダル産駒のパースウェイドだったことでナダル産駒のワンツーフィニッシュとなった新馬戦でした。
まだ太目を残した余裕のある馬体の仕上がりだったクレーキングでしたが、最後の直線では残り200mで一気に抜け出して後続を突き放す一方の強い内容、勝ちタイム1:25.9秒もかなり優秀なタイムでもしかすると芝のレースに使ってくるかもしれません。
シスキン
まだ一頭しかデビューしていないのですが、その一頭がいきなり新馬戦初勝利、ナダルよりは芝の短距離寄りの産駒が輩出されそうなイメージのシスキンです。
その産駒デビュー戦はキトンインザスカイが二着以下に一馬身半差での快勝でした。
調教でそれほど時計は出していなかったものの、レースに行って二番手からあっさり抜け出すと、共に単勝2倍台だった一番人気レイピアと二番人気カムイカルの追撃を振り切って勝利を収めました。
ちなみにキトンインザスカイの母はメジロトンキニーズ、名門メジロ牧場がつないできた母系で、自身はダイヤモンドS二着などの長距離戦で実績がある一頭、産駒にはトリオンフやクールキャットなど中距離の重賞勝ち馬も輩出しています。
キトンインザスカイの母父がダンスインザダークということもあり、スタミナ系が母系で強化されるとなかなか面白い一頭に成長してくれるかもしれません。
シスキン自体は、まだなんとも言えないところではありますが、初年度産駒となる今年は産駒が七頭しかいません。種付け中のアクシデントが要因となって種付け頭数自体が少なかったそうです。
来年はもっと産駒がデビューする予定なので、今年より来年が勝負の種牡馬なのかもしれませんが、少ない七頭という産駒の中からいきなり産駒のデビュー戦を勝利してしまうあたり、実はかなりの大種牡馬に出世してしまう可能性も秘めているかもしれません。
タワーオブロンドン
やや番外気味ですが、地方で1頭が勝ち上がり。中央では三頭が新馬戦で二着とあと一歩。そのうちの一頭は前述のキトンインザスカイが勝利した新馬戦で二着だったレイピアです。
レイピアはけっこう話題になっていた新馬、調教で時計もかなり速い数字を残していて、渋った馬場でも好時計でスピードをアピールしていました。
ただ、それがレースにいって持ち前のスピードは見せてくれたものの、勝ち馬には及びませんでした。ただ父同様に1200m~1400mのレースであれば次の勝ち上がりは確実な感じはします。(※レイピアはこの後、6月29日の小倉1R2歳未勝利芝1200m戦で快勝、勝ち上がりを見せました。)
産駒の初勝利となったのは地方の船橋競馬でデビューしたパンクビートです。ダート1000mの新馬戦で好スタートから早目先頭、そこから一気に後続をちぎって9馬身差という圧勝を見せました。
このレースはダート戦でしたがタワーオブロンドンのスピードを彷彿とさせる圧勝だったんだろうなと想像します。(地方競馬だからレースが観られないけど)
二歳戦は短距離の番組が多いこともあって、タワーオブロンドン産駒が受継いだスピードにものを言わせて勝ち切る産駒というのも今後出てきそうです。
まだ1開催終わっただけですが、いきなり新種牡馬の産駒がこれだけ勝ち上がったり、新馬戦で勝ち負けを見せたりと活躍しています。さらにこれからフィーエルマンやアドマイヤマーズ、エポカドーロなどの国内芝GI馬の産駒や、ルヴァンスレーヴ、ゴールドドリームといったダート血統の有力馬も次々デビューしてきます。なかなか新馬戦から楽しめそうです。
アレスバローズ
6月の月末に二勝を挙げて慌てて追加となった一頭です。
ちょっとレース振りは観ることができなかったのですが、土曜29日に新馬戦でエイヨーアメジストが逃げ切り勝利、しかも二着に九馬身差という圧勝での勝利でした。
翌日日曜には同じ小倉で、ケイテンアイジンが芝1200m戦を番手から押し切って勝利、一番人気に応えた勝利でした。
エイヨーアメジストが鹿児島県、ケイテンアイジンが熊本県の生産馬ということで、九州産馬限定のひまわり賞に向かうことが予想されます。
ウインブライト
アレスバローズ同様に慌てて追加、6月30日に函館1R2歳未勝利戦芝1200mを番手から上がり最速で押し切って快勝したシュードタキライトが初勝利となりました。
二戦連続三着のせいか意外と人気は集まらず二番人気でしたが、五頭立ての少頭数もあって紛れも少なく、一番人気の牝馬に一馬身半差を付けた勝利でした。