ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日はメイケイエールの引退の報に触れ、思い出を振り返っていきたいと思います。
2024年3月24日高松宮記念で引退
短距離戦線でレースを沸かせたメイケイエールがラストランを高松宮記念に定め、引退レースの当日に引退式が行われることになりました。
最後の勇姿となるレースの一ヶ月前ではありますが、引退を迎えるメイケイエールの思い出を振り返ってみようと思います。
同世代のソダシとは同族
メイケイエールの同世代に白毛のアイドル、ソダシがいます。
ソダシはメイケイエールの母シロインジャーの母(つまりメイケイエールの祖母)ユキチャンが、ソダシの母ブチコの半姉にあたります。
つまり、白毛の祖シラユキヒメ(ユキチャンとブチコの母)の孫がソダシで、ひ孫世代がメイケイエール、この二頭が共に2018年に生まれて同世代で牝馬クラシック戦線を沸かせたというのはなんかこう縁を感じます。競馬ってこういう縁がレースを面白くする一面がありますね。
重賞連勝の二歳戦
新馬戦でいきなり素質を見せつけたメイケイエール、折り合いはデビュー戦から既に付いていない状態で、鞍上の福永JKの腕前をもってしても抑えることは難しいようでした。
何とか上手くなだめて脚を溜めた道中でしたが、直線に入ってからは追う様子もなく、あっという間に後続を突き放して五馬身差の圧勝、ミッキーアイル産駒らしいスピードが先行したレース振りに将来が期待されるものではありました。
ただ、小倉2歳Sでは個人的には▲評価、二歳重賞は操縦性が重要と個人的には思っているので予想の時もかなり加味するのですが、なにせ折り合いに課題がある状況で勝ち切る迄には…、なんて思っていました。
しかし、そんな心配をよそに、先に抜け出したモントライゼと二頭が三着以下を四馬身引き離すレース振り、最後はモントライゼをとらえて一馬身以上の差を付けての勝利に、ただ者じゃない実力を感じさせる結果だったように思えます。
続くファンタジーSもあっさりと番手から抜け出して快勝、後方から一気に追い込んで来た二着馬に3/4馬身まで詰め寄られましたがスピードで押し切ったような格好で連勝を決めました。
そして二歳女王決定戦となった阪神JF、よりによって8枠18番の大外枠を引いてしまったのが響いてか、道中の位置取りはいつもより後ろとなってしまい、お終いよく伸びたものの
四着まで、上位が勝ったソダシの他、二着サトノレイナス、三着が後のオークス馬ユーバーレーベンだったことを考えると、この年の阪神JFは世代トップの実力馬が集っていたことがわかります。
クラシック、そして挫折
1600mはちょっと距離が長い、そんなレース振りを阪神JFで見せたメイケイエールの明け三歳初戦は桜花賞トライアルの王道チューリップ賞でした。ここで一番人気の期待に応え勝利を収めましたが、後続のエリザベスタワーと同着の優勝、何とか明け初戦は勝ったものの二戦目の本番桜花賞ではスタートで後手を踏みほぼ最後方、そこから我慢がきかず前半で暴走気味にスピードアップし先頭に、折り合いを欠いて前半で脚を使い切ったメイケイエールは最下位に沈んでしまいました。
ここですっぱり1600mから1200mに専念することになったメイケイエール、夏の札幌キーンランドCで一番人気に推されるも着外に敗戦、秋のスプリンターズSではさすがに当時の層の厚い歴戦の古馬相手では厳しいと思われていました。
予想からも切ってしまっていましたが、結果は実力のあるところを見せてくれた四着、しかし、スタートは後手を踏むし、その直後に隣のタイセイビジョンに寄っていってその外にいたエイティーンガールを含めた二頭の進路を妨害するような格好に。
ただそこからは鞍上の指示に応えて脚を溜めて折り合っていたような感じもあり、進境もあったように思えました。
気性の悪い癖馬の一面と、スピード能力に溢れた実力馬の両面が内包した難しい一頭。この年は初戦のチューリップ賞以外には全て敗戦となってしまいましたが将来性を感じさせるレース振りに、もうちょっと気性がどうにかなれば、と思わせてくれました。
古馬になって
翌年2022年は明け四歳、古馬になったメイケイエールはシルクロードSを快勝し、一躍高松宮記念の人気の一角を担っていました。
GI初勝利が目の前に、と思っていたところに、またしても阪神JFのときのように8枠17番という外枠というクジ運の悪さ、結果は五着でしたが、勝ったナランフレグからクビ差、ハナ差で三着までが続き、そこからクビ差四着トゥラヴェスーラとクビ差となる五着、上位五頭が僅差での入線となったゴールでした。完全に内と外の差が出たような格好。またしてもGI勝利はスルリとメイケイエールの手から逃げていきます。
巻き返しを狙った次走京王杯SCを快勝し、秋初戦のセントウルSもマイル女王ソングラインの参戦で盛り上がりましたが、二着ファストフォース相手に二馬身半差で勝ちきっていることもあってやはりメイケイエールは強い、という評価を得たように思えました。
しかし勝利を期待されたスプリンターズSで一番人気に推されながら14着と大敗、そこからサッパリとらしさを失ってしまい、勝てなくなってしまいました。
2023年のスプリンターズSでは久しぶりに五着掲示板と好走を見せましたが、もう少し…あと一歩、何かが足りないような感じはあったような気がします。
引退で有終の美を期待したい
三歳秋のスプリンターズSから手綱を取る主戦の池添JKをもってしても、時に折り合いを欠き、時に斜行し、時にレースを止めてしまう、そんなメイケイエールになんだか親近感を覚えてしまうファンも多いんじゃないかと思います。
池添JKといえば、希代の癖馬、暴君とよばれたオルフェーヴルの主戦騎手、あんな難しい馬の主戦だった鞍上でも制御不能な部分を残すメイケイエールもまた癖馬なんだろうなぁと思います。
でも最後の最後でメイケイエールが念願のGI勝利で引退への花道を飾るとなんかこうグッとくるものがありますね。