ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
引き続き2023年のレースでラストランを迎えた引退馬を振り返ってみようと思います。
最後は牝馬の振り返りです。
スルーセブンシーズ
有馬記念後に骨折が判明し引退となりました。
2024年には、もう一段階上を狙えそうな実力馬だっただけに残念な故障です。ただ、クラブ馬なので六歳で三月末引退が既定路線だっただけに、引退レースは連覇を掛けて中山牝馬Sだったような気も。
初重賞が中山牝馬Sだけに中山実績が目立った一頭でした。オークス大敗後の秋初戦紫苑Sでは二着好走がありますし、条件戦でも勝ち上がりは全て中山コース、中山牝馬Sで初重賞勝利となったその後、休養からぶっつけ宝塚記念でイクイノックスにクビ差まで迫った一気の末脚はお見事でした。
これだけ走った馬なので、配合相手には芝の中距離を狙えそうな種牡馬を迎えて欲しいなと思います。
ジェラルディーナ
最初にジェラルディーナを本命で狙ったのは阪神JF七着に終わった二歳戦を経て明け三歳のエルフィンSでした。ここで人気を集めますが10着と大敗してしまいます。
その後にジェラルディーナのレース振りを観て目を引いたのが2勝クラスの小倉1800m筑後川特別でした。ここでスローペースの中を最終コーナーで大外ブン回し、最後方の大外を加速ラップを記録して一気に差し切ってしまいます。モーリス産駒でマイル超となる1800mを大外ぶん回して豪快に差し切るというシーンがどうもこのときは新鮮で、相当強いんじゃないかと思ったものです。
秋華賞出走なら狙おうと考えていたジェラルディーナですが、残念ながら抽選に外れ除外、自己条件の西宮Sに矛先を変えて後の重賞馬イズジョーノキセキとかオークス四着馬タガノパッションを相手に上がり最速の33.3秒を繰り出して快勝、これは重賞もすぐに勝ち切るだろうと思われる勝ちっぷりでした。
しかし、そこからしばらく足踏みが続きます。
距離が合わなかったり、展開が向かなかったり、通った内の馬場が荒れていて伸びを欠いたりと何らかの敗因がはっきりしているのですが、なかなか歯車が噛み合わず勝ち切れていませんでした。
それが、2022年のオールカマー、仮柵移動で内寄りが良好なグリーンベルトとなった箇所を上手く突き抜けて快勝、有力馬が馬場の悪いところを通らされたのもジェラルディーナにプラスに働きました。
その次走はエリザベス女王杯、重馬場になったので勝ち切るイメージが持てず切ってしまったところ、前崩れで上がりの競馬となった結果、持ち前の末脚を繰り出して快勝GI初制覇を飾ります。
そこから暮れの有馬s記念も好走を見せ三着、思えばここが競走生活の最高潮でした。
好走条件がはっきりしていたジェラルディーナ、七冠馬ジェンティルドンナの娘としてプレッシャーもあったと思いますが、GI馬として繁殖生活を始めることができたのは良血の意地を感じた一頭でした。
イズジョーノキセキ
西宮Sでジェラルディーナと明暗を分けた二着だったものの、その後果敢にGI挑戦、エリザベス女王杯では二着以下がクビ差で二頭続き、四着馬とハナ差だった五着に入ったのがイズジョーノキセキでした。
GIで二着馬と僅差の五着好走で自己条件はあっさり、と思ったらなかなか勝ち切れない、準オープンクラス勝利はよりによって元POG馬で注目していたアールドヴィーヴルが一番人気に推されて期待した垂水Sで鮮やかに差し切って快勝でした。
その後、昇級初戦でいきなり府中牝馬Sに出走、12番人気の低評価を覆すようにゴール前で一番人気ソダシを急襲するとこれを差し切って勝利、ハマった時の末脚は強烈な印象を残しました。
その後良くて掲示板くらいが続きますが、引退レースとなったチャレンジCで再び波乱の立役者に、産駒に持ち前の末脚が伝わればターフを賑わす存在になってくれそうです。
ウインマイティー
オークス三着を始めとして、中距離戦線で全23戦を走りきったウインマイティーも前述のイズジョーノキセキが三着だったチャレンジCを最後に引退、繁殖牝馬となるため旅立ちました。
やっぱりキャリアの中でデアリングタクトの勝ったオークスで三着、ここで一気に穴馬から有力牝馬にのし上がった感があったのですが、その後が続かず。
その中でも古馬になってからマーメイドSを勝利したり、二年連続勝ち負けしたりと活躍を見せました。
メンバーの揃った2022年の有馬記念六着が結構印象に残っています。
牝馬はジェラルディーナ三着とか四着にイズジョーノキセキが入っていてそれほど目立たなかったのですが、ジャスティンパレスにクビ差先着、さらにその下にはディープボンドやタイトルホルダーなどの有名馬が名前を連ねています。この六着でも力を見せた感じはありました。
アートハウス
ケガの影響かエリザベス女王杯13着を最後に引退しました。
主戦の川田JKの期待が大きい一頭だった牝馬でした。能力は高かったと思いますがケガに泣かされた格好だったような気がします。
前述のウインマイティーと同じ忘れな草賞を勝利してオークスに挑んだアートハウスでしたが結果は奮わず。しかし秋初戦のローズSで夏を超えて勝ち上がってきた馬を一蹴して改めて能力の高さを示す勝利、本番は掲示板止まりでしたが展開が向かなかったのもあるなかで掲示板は世代でも上位の実力だったように思えます。
中山牝馬Sを一叩きしてGIヴィクトリアマイルに挑む予定だったのが、骨折によって頓挫してしまい、これで歯車が狂ったのもあって、秋にはぶっつけエリザベス女王杯出走も奮わず引退となってしまいました。
現役時代にそれほど使われなかった馬のほうが産駒が走るという話もあるので、現役時代が全九戦だったアートハウス、高い能力を示していただけに産駒にも期待できるかもしれません。
ウインマリリン
有馬記念で引退。
2020年のオークスではウインマイティーとウインマリリンの二頭がクビ差で二着・三着と二頭でデアリングタクトに続いて複勝圏内に入ったウインの二頭ということで、同世代のウインマイティーとキャラクターが似たような感じがする一頭でした。
ただ、成績は芝の中距離戦で存在感を発揮したウインマリリンのほうが上でした。オークス前のフローラS勝利に始まり、古馬になってから日経賞とオールカマー勝利を加えた重賞三勝の翌年12月には海外で香港ヴァーズを勝利しGI馬となりました。
その前走のエリザベス女王杯でもジェラルディーナから0.3秒差の二着(ライラックと同着)に好走、さらにエリザベス女王杯の前走では札幌記念に出走し、牝馬クラシックGI馬ソダシやユーバーレーベンのほか、海外GI馬であるグローリーヴェイズ、パンサラッサに加えて後にGI馬となるジャックドールと言ったかなりのメンバーが揃ったレースでも三着と好走していてウインマリリンの追い風を感じたのはありました。
好不調の波があるタイプっぽかったなぁという印象で、不調の波が来ているときはなかなか仕上がらなかったのか個人的には勝てると思っていた2021年エリザベス女王杯とか調整が上手くいかなかったのが祟ってか大敗してしまうこともありました。
香港ヴァーズを制したGI馬、産駒にも期待が掛かります。
ホウオウエミーズ
有馬記念で引退。
その有馬記念はGI馬八頭が上位八着までを占めた結果となったレース、その中で、ソールオリエンスからクビ差のハーパーにクビ差で10着はこれまでの成績から考えると健闘した結果と言えそうです。
五歳で新潟牝馬Sを勝利してようやくオープンクラスの初勝利、六歳で本格化した感がありマーメイドSを10番人気で三着したあと七夕賞を13番人気で二戦連続重賞三着、そこから連覇を狙った新潟牝馬Sは二着に終わったものの、次走福島記念で重賞初制覇を決めました。
牝系を遡っていくと欧州のスタミナ血統で、ロードカナロア産駒ですが道悪得意なスタミナタイプに出たような産駒だった印象が残っている一頭です。