ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は競馬場に吹く風の影響について。馬場ほど影響しなくてもレースに影響する要素の一つです。ただ、現地でライブ観戦した人の特権とも言えそうです。
風が与えるレースへの影響
春の中山開催ではクラシックレースの皐月賞を始めとして、GIの前哨戦が多数開催されます。
時期的に強い風が吹くこともあり、その風の影響によってレースが紛れることもあるようです。
例えば、ワンターンの1200mや重賞もある1600m戦、右回りコースの中山でスタンドからみて左から右に強い風が吹いていると仮定します。
このとき、スタートから程なく向正面(スプリント戦はスタート時点が向正面ですが)を迎えて、追い風によって後押しを受けた各馬はスピードに乗って前半のペースは思っていたよりもずっと速くなることがあります。
前半のペースが想定以上に速くなってしまえば、前を行く馬がバテてしまい、展開には紛れが生じることも出てきます。メンバー的には前残りのハズなのに何故か差し・追い込みが決まってしまう、と言った具合に。
また、向正面で追い風が吹いていると言うことは、逆に最後の直線ではこれが向かい風になるということも意味しています。つまり、向かい風の中で最後のスパートを掛けることになるということです。
人間も向かい風の中を走るのはなかなかに難しいものです。同様に馬も走りに風の影響を受けることはあるようです。
しかも、追い風で前半が極端に速くなったペースで、ラスト三ハロンを向かい風で極端に上がりが遅くなると言うレース、加えて中山コースには名物である直線の急坂もあります。特殊なレースになると言ってもいいくらいなのかもしれません。
追い風を受ける距離が前半で長いか、後半(主に最後の直線)が多いのか、によって前残りか末脚勝負かをある程度考慮することで、より予想の精度が上がるかもしれません。
向正面での向かい風⇒直線での追い風
向正面と最後の直線は逆向きに走ることになりますので、風が強い日に向正面で向かい風になっていたとしたら、最後の直線では追い風となります。
逆向きの風なら向正面が追い風となり、最後の直線では向かい風となります。
道中が向かい風だと走りにくい⇒ペースが上がらない、
道中が追い風だと走りやすい⇒ペースが上がりやすい、
ということもあるようです。前半のペースが後半の上がり三ハロンに影響するというのは競馬としては自然なことです。つまり風で前半のペースが紛れたことで、人気薄の台頭もある、ということも。
表題のように、「向正面での向かい風⇒直線での追い風」であれば追い風となる直線で狙うべき人気薄は差し・追い込み馬、という狙い目になります。「この馬、なんで今回だけ好走できたんだ?」と思ったそのとき、もしかしたら風の影響もあるのかもしれません。
風が吹いて競馬を止めた馬
かつて「風が吹いて競馬を止めてしまった」というコメントを見たことを思い出しました。
それは、1995年の有馬記念、ジェニュインの10着の敗戦の弁でした。鞍上は名手と呼ばれた岡部幸雄元騎手で、皐月賞を勝った馬が三歳(当時の四歳)で驚異的な天皇賞(秋)二着の成績を引っさげて有馬記念に挑んだ年です。
前年の勝ち馬ナリタブライアンや二着だった女傑ヒシアマゾンに続く三番人気に推された三歳馬は、ダービーでも二着の実績を残していたことから距離の不安はなさそうだと思われていました。
しかし終わってみれば結果は10着、不可解な敗戦に要因として挙げられたのが、「風が吹いて競馬を止めてしまった」という分かるような分からないような敗因。
展開としてはまさかのマヤノトップガンの逃げで始まり、そのまま逃げ切り勝ち、二着にも番手で進めたタイキブリザードが入線し同じ番手で進めていたジェニュインも入着はありそうなレース展開ではありましたが、「風」で競馬を止めてしまったジェニュインは12頭立て10着と大敗してしまいます。
改めて競馬の難しさというのを知った出来事でした。