SpecialなWeekを目指す競馬日記

自分の買い目を考えて記録し後で検証するという目的のブログです。※馬券の購入は自己責任です。予想はそれほど悪くないが馬券に落とし込むところが課題です。

競馬雑学:名手が名手と呼ばれるゆえん

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ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。

今日は騎手の話題です。一般的に言われる「人3割 対 馬7割」以上にヤネの影響力を感じた二頭から思った話です。

勝ちまくるだけが名手じゃない

名手の理由って

「こう変えたらまた勝てるんじゃないか?」

これを実際にレースで試して見事にハマるのが名手の腕、ということなんじゃないかと思います。

BS11で武豊JKの神騎乗という特集を見て思った名手と呼ばれるゆえんを考えてみました。

スペシャルウィーク

古馬になってから三連勝で天皇賞(春)を勝利してGI二勝目を挙げたものの、宝塚記念で同世代のグラスワンダーに二着敗戦。
そこから、休養明けの京都大賞典で着外に敗戦すると「スペシャルウィークはもう終わった」と思われてか、続く本番天皇賞(秋)では四番人気とデビュー以来最低の単勝人気となりました。
確かに出走馬は前走京都大賞典で勝利したツルマルツヨシとかメジロブライトといった上位二頭に、札幌記念から直行したもう一頭のクラシックホースであるセイウンスカイが出走しており、前走大敗のスペシャルウィークの人気が落ちるのは仕方なかったような感じもしますが、ここで古馬になってから初めての後方待機策に出た武豊JKは前半1000m58.0秒のハイペースの中を思い切った直線勝負に出て、あっという間に前をまとめて差し切ると、最後はクビ差ステイゴールドを差しきって勝利を収め、復活の狼煙を上げました。

スペシャルウィークの全成績を見ると分かるのですが、古馬と初対戦となったジャパンカップ(このときは武豊JKはエアグルーヴ騎乗のため乗り替わり)から、大敗した京都大賞典までは番手、好位追走から早目の抜け出して勝利を収めています。
しかし、復活の天皇賞(秋)からは道中は後方待機策に出て、メンバー中上がり最速を記録して直線でまとめて差しきる末脚勝負に回帰しているのが特徴的です。

もちろん京都大賞典は太目で調教の動きもイマイチ、そこから天皇賞(秋)では馬体重を大幅に絞って勝利したという要因が一般的に言われています。それも大きい要因としてはありそうです。

ただ、引退レースの有馬記念までを含めて考えてみると、「宝塚記念のレース内容では勝てなかった。グラスワンダーに勝つには?」というポイントに絞った武豊JKの答えとなるレース振りが、このお終いを活かす競馬なのかなという感じもしています。

サイレンススズカ

デビュー戦を圧倒的なスピードで圧倒したサイレンススズカは、二戦目でゲートを潜って大敗した弥生賞はさておき、その後も持ち前のスピード能力で順調に二連勝、三勝目を挙げたプリンシパルSでは後の菊花賞馬マチカネフクキタルとか弥生賞馬ランニングゲイル(武豊JK騎乗)をクビ差凌いで押し切って勝利を収めています。

ただ、素質だけで勝ちを重ねることができるほど甘くはなく、そこから低迷してしまいます。

ただ、暮れの香港国際Cで鞍上が武豊JKにスイッチしました。アウェーの舞台でも突き放した逃げはここまで敗戦した二戦よりも直線で我慢が利いていたように見えました。
残り50mまでは先頭を譲らず、最終的に五着に終わったものの翌年の活躍の片鱗は(後から見返してみると)感じさせる走りだったように思えます。

ここから翌年はサイレンススズカを手の内に入れた武豊JKを背に連勝街道に。
バレンタインSを圧勝すると、続く中山記念勝利で重賞初制覇。
このレースが、前半600m36.2秒とハイペース、93年のツインターボ(六着)が記録した前半三ハロンと同じペースであっさり逃げ切ってしまいます。ちなみに1000m58.0秒は2000年のクリスザブレイブ(六着)と同タイムで、いずれも逃げ馬が潰れるペースで前半を走り切ったサイレンススズカは上がり最速で飛んで来た二着馬ローゼンカバリーに影を踏ませることもなく一馬身以上の差を付けてゴールを駆け抜けて行きます。

武豊JKがいままで勝てなかったサイレンススズカ独特のマイペースを把握して、圧勝を続けていきました。初GI制覇の宝塚記念ではエアグルーヴ騎乗のため鞍上は南井JKに譲りましたが。

通常の逃げ馬では潰れてしまうペースでもサイレンススズカにとってはマイペース、破格の馬を御するには、その個性を伸ばせるヤネが必要ということなのかもって、サイレンススズカを見て思ったものでした。

武豊JKの試行錯誤

個人的に大好きというだけでスペシャルウィークとサイレンススズカを取り立てて書きましたけど、この二頭だけでなく武豊JKで別馬のように変わるという現象は90年代からよくあった"あるある"話でした。

馬の能力だけで勝ちまくる、という状況もないわけではないものの、やっぱり名馬でも壁に突き当たることはあるもの。そこで勝つための転換を7:3の三割を担う名手の出番になるのかもしれません。