ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は以前の馬場の続き、天候と関係しない馬場状態の小話を。
こっち<競馬雑学:馬場状態を表す言葉 - SpecialなWeekを目指す競馬日記>は天候と関連する馬場状態の変化ですが、今回は天候と関係しない馬場状態について。
荒れ馬場、ってのは天候じゃなく
例外として、天候による馬場状態悪化以外に「荒れた馬場」ってのがあります。
開催が長くなると芝の回復が遅れ、次第に地面に生える芝がはがれていきます。走れば走るほど馬場が悪化します。これは天候とは関係なく「どれだけその芝の上が走られたか」によって決まってきます。
よく言う、「開幕週は前が止まらない」ってのは馬場が良好であるがゆえに、逃げ・先行馬がスピードを保ったままでゴールになだれ込むことを表現しています。馬場が良好故に逃げ・先行が決まりやすいのは、裏を返せば差し・追い込みが決まりにくいということに繋がります。
たくさんの馬が走った後で芝が剥がれた状態の荒れた馬場を走るより、芝が青々と生い茂ったコースを走る方がより高速に走ることができます。
インを通る方がいいけど…
競馬は円周のトラックを回ります。そのため、「インコースの方が有利」なのは間違いない事実です。逃げ・先行の馬はインコースをキープして最短ルートを通ることで最小の距離ロスでレースを進めることができます。有利ってことです。
差し・追い込み馬はどうしても前の馬を追い越すためにはラストスパートを仕掛けるときに外に持ち出す必要があり、逃げ・先行の馬より多少距離をロスしてレースを進める必要が出てきます。ただ、最近は巧くインを抜ける馬も多く、イン抜けが決まると強い勝ち方をすることも多いですね。
このように、インコースは馬が殺到するので、インコースが必然的によく走る箇所となり馬場が荒れることに繋がります。これによって開催が長くなるとインコースが荒れる=外に回す差し追い込みが決まるようになる、という傾向が出てきます。
これを一般的に「外差し」とか「外差しの決まる馬場」とよく表現されます。
要注意な仮柵移動
この開催が進むほどに馬場の悪化による有利不利を緩和する方策が、移動柵を用いたインコースの馬場回復方法です。
具体的にはインコースの馬場が悪化した箇所をコースから除外するために、仮柵と呼ばれるコースのガードレール見たいなものを移動してしまいます。
内側の傷んだコースを走れなくするために仮柵を外側に移動しコースから除外してしまいます。こうすることでインコースの馬場が極端に悪化することを軽減するわけですね。
逆にインコースの内側を温存して置いて、仮柵を内側に移動して「とても良好な馬場状態をインコースに誕生させる」という方式もあります。これを通称"グリーンベルト"と呼び、逃げ馬にとって最善の通り道となるコースです。
個人的には菊花賞でスペシャルウィークがセイウンスカイに負けたのは仮柵移動によるグリーンベルトの存在が影響していると今でも思っています。
新潟直千
ここで特殊なコースが出てきます。新潟直千のコースです。
このコースで開催されるレースはスタートからゴールまで一直線であり、コーナーがありません。そのためインコースの有利不利が全く存在しないコース形態となります。このためスタートからどの馬も荒れてない外側=外ラチ沿いへ向けて馬が殺到することになります。
新潟直千が外枠有利、というのは、「他のレースで全くと言っていいほど走られていない外側をスタートからゴールまで走れるから」という理由です。
こうして通常のレースはインコースに殺到するのがセオリーとなりますが、この新潟直千だけに限って言えば、アウトコースに殺到することがセオリーとなります。
ちょっとした小話
新潟直千のレースで「枠入り不良により外枠発走」ということがありました。
枠入りに問題がある馬はペナルティ的に外枠から発走になります。これ自体は見慣れた光景なのですが、このレースは新潟直千。
「新潟直千で外枠発走したら、圧倒的に有利じゃないの?」
て話になります。枠入り不良の馬がジッとゲートで我慢している他の馬より有利なスタートを切ることができる、ってのは何とも言えないですね。
この時、「新潟直千だけは、外ラチ沿いから1番、2番…て具合に枠順を割り振った方がいいんじゃないかしら?」って思ったものです。
それくらい、新潟直千の外枠ってのは有利なコースってことですね。