ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日は藤岡(康)騎手の個人的な観点から好レースを選んでみたいと思います。
あくまで個人的な観点から、このレースを観て欲しいと思ったもの、さらに自分の思い出に残っている度合いでも決めています。
2023年マイルCS:ナミュール
これはもう誰も文句なしでベストレースじゃないでしょうか。久々の重賞勝利はGIだった、という一鞍です。
これはナミュール云々よりもライアン・ムーア騎手が落馬負傷により急遽乗り替わりとなった一鞍、それを有力馬の一頭とはいえ正攻法で勝たせたのがかなり光っていました。
なにがスゴイと思ったかというと、ただのテン乗りじゃなくて世界一の鞍上から急遽乗り替わりになったGIという点が大きかったと思います。プレッシャーもかなりあっただろうし、凡走や惜敗しちゃったら「ムーアJKだったら…」なんて比較されるようなコメントがどこからか出るのは仕方ないところ。そこでしっかり勝ち切ったメンタルがスゴイなとおもいました。
世界一の鞍上ムーアJKの代打で四角ほぼ最後方から大外ブン回し、これ、並みのジョッキーにはなかなかできないと思います。そう思ったことで好騎乗のトップに頭に浮かんできました。
2021年京都大賞典:マカヒキ
長く低迷したダービー馬を復活させた京都大賞典も印象深いレースです。
直線に入っても一気に先頭を狙わず馬群に入れたまま、前はアリストテレスとキセキの二頭で叩き合いとなってからも、その直後から迫るのですが、ロスなく内で脚を溜めて、最後の最後だけ外に持ち出して、一気に前の二頭に迫っています。
低迷してからのマカヒキは後方待機から上がり最速を記録したことは何度かあるのですが掲示板くらいが精一杯なレースが続いていました。このレースでは珍しく中団に付けて馬群の中に入っての追走、それでいて四コーナー通過後もまだ動く気配はなくて、ギリギリまで溜めに溜めた末脚を残り200mから一気に仕掛けて体勢決まったと思われたアリストテレスとキセキの叩き合いをあっという間に差し切ってしまいます。
マカヒキを勝たせるには、というテーマを熟考されたような騎乗だったと思います。競走馬としてはピークが過ぎていたと言える成績だったマカヒキを再び輝かせたのが藤岡(康)JKでした。
2016年北九州記念:バクシンテイオー
八番人気の単穴一発。道中は最後方待機、三コーナーから四コーナーに差し掛かっても後方から三番手くらいで外に回していました。小倉の直線は短いので四コーナーで先頭を奪ったベルカントと競り合うオウノミチの二頭で決まったと思ったとき、大外一気で飛んで来たのが藤岡(康)JKのバクシンテイオーでした。
ベルカント本命にしていたけどおさえでバクシンテイオーを入れていたので的中出来たレースです。
振り返り:小倉11R-北九州記念 - SpecialなWeekを目指す競馬日記
三コーナー付近から後方三番手まで押し上げていますが、四コーナーで大外を選択しているので結局のところ直線に入ったときはほぼ最後方、そこから短い小倉の直線をムチの連打で一気に追い上げると、あっという間に先頭までまとめて差し切ってしまいました。痺れましたね。
2017年札幌記念:ナリタハリケーン
大荒れだったレースです。もちろんその立役者は12番人気だった藤岡(康)JK騎乗のナリタハリケーンでした。
序盤は控えて後方待機、ちょうど勝ち馬のサクラアンプルールの直後に付けてじっくり進んでいきます。
このレース、かなり上手く立ち回っていてロスのない競馬をしています。
三コーナー付近からサクラアンプルールが徐々に外に持ち出していくのですが、そのサクラアンプルールが持ち出していった道を上手くなぞってロスの少ない形で最後の直線では外に持ち出すことに成功しました。
あとは直線に入ってから大外から一気に伸びを見せます。先に抜け出したサクラアンプルールにはわずかにクビ差及ばなかったものの、直線の短い札幌であと一歩のところまで迫っていました。これはかなり好騎乗だったと思います。
ナリタハリケーンはこの二走前でコンビ二戦目となった巴賞でも、最低人気を覆す目の覚める末脚を引き出して三着入線で波乱を演出しています。直線で外に持ち出すために外で蓋になっていた二着馬を先に行かせるロスがあった上で3/4馬身差の三着でした。
2019年高松宮記念:ショウナンアンセム
ここまでの馬たちは主に外差しで末脚を使ってくる大外一気ですが、ショウナンアンセムはイン突きで単勝358.9倍の17番人気という超穴馬を三着も持ってきました。
序盤から先行馬のポジション争いが激しい感じで、各馬ロスの少ないインを取りたい感じ、そこでもしっかり我慢の競馬で、直線に向いてからも勝ったミスターメロディが前にいて進路がなくなっています。
そこでも落ち着いて我慢、残り200mのハロン棒を通過したところで逃げ馬モズスーパーフレアが下がってきたところを上手くパスしてミスターメロディを追って迫っていきました。
これはミスターメロディ騎乗の福永JKが絶好のポジションを取れたことがショウナンアンセムとの差になったような格好のレースですが、慌てず進路がなくなってからも上手く勝ち馬ミスターメロディの通ったところに滑り込むことができたことで、最後の伸びに繋がったように思えます。前述の札幌記念同様、一番人気じゃない勝ち馬の進路を上手く活用して人気薄を馬券圏内に持ってくるのは腕前と言えるんじゃないかと思います。
2021年天王山S:ホウショウナウ(二着)
的中できたから覚えているレースの一つ。
振返2021:阪神11R-天王山S - SpecialなWeekを目指す競馬日記
ナリタハリケーン同様、コンビ結成から二戦目でいきなり結果を出した一鞍。ただしホウショウナウのレース振りは勝ち馬の直後から進めてなくて、自分から動いて行っている点がちょっと違います。
スタートは一息で後方から三番手四番手くらいでレースを進めていきます。
三コーナー手前から早々に仕掛けて行き、四コーナーを回るときには既に先頭集団に取り付いています。
直線に入ると逃げ馬と一番人気ジェネティクスに並んだホウショウナウ、三頭の横一線からジェネティクスが抜けるのですが、そこに並び掛けて叩き合いに持ち込むのがホウショウナウです。一番人気の福永JK騎乗のジェネティクスと11番人気の藤岡(康)JK騎乗のホウショウナウ、レース映像だと気づかないのですがこの二頭って天と地ほど人気の開きがあるんですよね。
ただレースは二頭の叩き合いを外から一気に武豊JK騎乗のスマートアルタイルが差し切って勝利するのですが、察するに一番人気のジェネティクスをマークしてジェネティクスに勝ち切る競馬をやろうとしたんじゃないかと思いました。結局一番人気のジェネティクスをクビ差退けて二着入線なので藤岡(康)JKの狙いはハマった感じなのですが、さらなる名手武豊JKの騎乗馬が一気の末脚で差し切ってくるとは誤算だった、ってことじゃないかなぁと。
2020年若葉S:キメラヴェリテ(二着)
ホウショウナウと同じヒモ穴の二着でワイド二点と三連複的中できたパターン。キメラヴェリテは先手を奪って逃げ切り勝ちでした。
振返2020:阪神11R-若葉S - SpecialなWeekを目指す競馬日記
ここまでは追込み馬ばかりでしたが、ここは大外枠からの逃げ馬キメラヴェリテです。スタートから行き脚を付けて二番手を大きく突き放した大逃げのような格好に持ち込みます。
1000m通過59.9秒と絶妙なペースで逃げを打ったキメラヴェリテは四コーナーを通過した時にも二番手以下に三馬身以上のリードを保って直線に入って行きます。
しかし、ここは武豊JK騎乗のアドマイヤビルゴが無類の強さを見せ、直線では別格の末脚を見せて残り200mのハロン棒通過から破格の末脚を見せてキメラヴェリテをとらえて先頭に立ち勝ち切ってしまいました。
これは武豊JKがアドマイヤビルゴの末脚を引き出したレースといえるかもしれませんが、単勝2.6倍の一番人気アドマイヤビルゴと単勝63.1倍の10番人気キメラヴェリテではちょっと比較も難しいものがあります。楽逃げ切りになったように見えましたが最後の最後に武豊JKがレースを動かしたような感じもしました。
追込みに目覚ましい活躍が多い藤岡(康)JKだったのですが、最後にご紹介したこのキメラヴェリテは後続を突き放した逃げのレース。このレースも絶妙で是非見て欲しいレースの一つです。
全部JRAホームページで閲覧可能です
ここまでご紹介したレース映像は全てJRAのホームページから過去レース映像で動画を閲覧することができます。
改めて見直してみたのですが、どのレースもコンビ結成間もない人馬と思えない一体感と、とても二桁人気の穴馬とは思えない走りを見せてくれます。
ぜひ藤岡(康)JKの好騎乗、一度レース映像で。