ちょっと知ってるだけで玄人っぽい会話ができるようになる雑学。
今日はBMS(ブルードメアサイアー)における母父キングヘイロー馬の活躍について。去年とガラッと変わってBMSキングヘイローの成績が向上しています。
BMS(ブルードメアサイアー)について
BMS(ブルードメアサイアー)とは、競走馬における母の父にあたる種牡馬を指します。
サイアーが種牡馬、つまり競走馬の父を指す用語で、母の父がブルードメアサイアー。
種牡馬に対して特定の父を持つ繁殖牝馬が活躍馬を多数輩出するケースがあり、これをニックスと呼んで好相性を
一昔前で有名なのが、ステイゴールド産駒のブルードメアサイアーとして母父メジロマックイーンという黄金配合、他にもディープインパクト産駒のブルードメアサイアーとして母父ストームキャットなども有名です。
競馬の世界では血統を見るとき母の先祖を遡って良血を判断します。このため、血統図において牝系となるブルードメアサイアーは種牡馬を選択するときに重要な要素となります。
今回は、全てこのBMS=母父の話となります。
母父としてキングヘイローが活躍している
※ちなみに数字は2021/11/19現在の数字を元にしています。
2020年はキズナ産駒(母はローレルゲレイロの近親)のディープボンドが勝利した京都新聞杯の1勝だけだった重賞制覇が今年はGI馬ピクシーナイトがスプリンターズSを始めとして重賞二勝、ディープボンドが居ねに引き続き阪神大賞典を勝利していたり、ヴァイスメテオールやメイショウムラクモ、アサマノイタズラといった三歳レースの重賞制覇に加えて、今月11月にはウォーターナビレラが二歳重賞ファンタジーSを勝利と既に七勝を挙げています。
これに加えて、イクイノックスが先週の土曜、東スポ杯2歳Sを制覇し、キングヘイローはBMSとして重賞八勝と一歩抜け出ました。
母数の多いキングカメハメハやディープインパクトが勝利数や重賞勝利数が多いのは当然としても、少ない出走回数でリーディングBMSランキング一位のキングカメハメハと同じ重賞七勝を挙げ、二位のディープインパクトの六勝を上回っているのは驚異的なんじゃないかと。
キングカメハメハの産駒の出走回数が1634回、そのうち勝利数が138勝で重賞勝利はそのうち7勝、
ディープインパクト産駒の出走回数が1379回、そのうち勝利数が118勝で重賞勝利はそのうち6勝、
15位のキングヘイロー産駒の出走回数は353回、そのうち勝利数は31勝で重賞勝利はそのうち7勝、
うーん並べてみるとすごい数字です。
去年のリーディングBMSランキングの成績は375回の出走のうち勝利数30勝、重賞勝利はわずか1勝に終わったことを考えると、今年のBMSとしてのキングヘイローの存在感はかなり高いです。
アーニングインデックス
種牡馬の産駒成績を勝利数だけでなく賞金という数字を使って産駒成績を図る指標として、アーニングインデックス(AEI、EIとも略す)という指標があります。
産駒の獲得賞金が平均値(1が平均値)よりも大きい場合、平均以上に産駒が賞金を稼いでいて、1より小さい(0.xx)の場合には獲得賞金が平均より少ない、ということが分かる指標になります。
産駒数が多いけどその分勝ち馬を多数出している上位馬はもちろん平均値である1.00超えを達成してます。ただ、キングカメハメハのEIが1.24、ディープインパクトのEIが1.32に対して、キングヘイローのEIは1.85とかなり高い数字を出しているのは、数少ない産駒で重賞勝利を多数挙げているゆえんではないかと思います。ちなみに去年のキングヘイローのEIは1.01でした。今年産駒が走っているんですね。
キングヘイローを超えるBMS
ただ、キングヘイローより数字がよいブルードメアサイアーもいます。
2021/11/19現在のリーディングBMSランキングでキングヘイローに次ぐ16位となる世界の大種牡馬ストームキャットです。261回の出走で25勝、うち重賞勝利四勝、EIは1.91とさすがの数字。
ただ、ほとんどがディープインパクト産駒によるBMSとしての成績で、父ミッキーアイルのナムラクレアの重賞制覇以外はダノンキングリーもレッドジェネシスもラヴズオンリーユーも全部ディープインパクト産駒。
ナムラクレアといえば、ファンタジーSでウォーターナビレラと勝ち負けを争っていました。母父キングヘイローのウォーターナビレラと母父ストームキャットのナムラクレアの争い。
新種牡馬のシルバーステート産駒のウォーターナビレラと、二世代目で二年連続小倉2歳Sの勝ち馬となったミッキーアイル産駒のナムラクレア、パッと見で種牡馬だけ見ているとこういう構図だったファンタジーSなのですが、
一転して、BMS視点でこの二頭の争いを見てみると、2021年BMSランキング15位のキングヘイローと16位のストームキャットの争い。しかもこの二頭はBMSリーディングのトップ20では皆無なEIが1.5越えとなる二頭。
なんか、視点を変えると面白い見え方をしてくるものです。たまにはBMS視点でレースを観てみるのも新しい視点をもたらしてくれるかもしれません。